HR Storys

初めての新卒受け入れ

2023年、初となる新卒社員を迎え入れた
リファインバースグループ。
その受け入れを任されたのは人事担当・山田だった。
新卒1期生の成長の裏で、彼女は人事担当として何を思い、
彼らにどう向き合ってきたのか。
この1年を振り返り、語ってもらった。

山田 詩織
人事部 部長

高校教員、大学図書館司書を経て、
2018年に営業事務として入社。
リファインバースグループ人事部に異動し、現職。

※個人情報保護の観点から、役員を除く従業員は仮名で表記しております。

Storys 01
新卒1期生入社前を振り返る

5年で経営人材に育てる。

そのためにベストな受け入れをしたい。

新卒の受け入れは私にとってもリファインバースグループ(以下RG)にとっても初となる試みでした。利益追求が環境改善に直結する、まったく新しいビジネスを展開するRGにとって、エシカルな消費行動が根付いている若い人材は極めて重要な存在です。新卒社員の柔軟な発想と行動力は、きっとRGに新しい風を吹かせてくれる。そんな期待があって、彼らを5年以内に子会社の社長が務まるぐらいにまで育てたいと、社長である越智さんとも話していました。そのためには、私たち受け入れ側もしっかりとしたトレーニングプログラムを用意する必要があったんです。

事前に決めていたのは、RGの事業を立体的に理解してもらうため、また、自分の強みや弱みを知ってもらうために「約3ヶ月ごとに部署をローテーションし、それぞれの担当役員のもとで学んでもらう」という大枠だけ。具体的なプログラム内容については、人事と社長、役員でミーティングを開き、煮詰めていきました。いわゆるカバン持ちのようなOJTにはしない。長時間労働といった“量的負荷”ではなく、答えのない仕事に挑戦させ、ビジネスに必要なアタマの使い方や行動力を求める“質的負荷”をかける。――というように、さまざまな意見を出しあい、RGのDNAであり社員も実践している「走りながら考える」ことに1年目から挑戦させようと決めました。これって言葉では簡単に聞こえますが、きわめて概念的で難しいことなんです。

学生から社会人へ…さらにたった5年で新卒社員を経営人材に育てようとするんですから、彼らが早い段階で壁にぶつかり、苦悩するであろうことは容易に想像できました。当然、その分私たちも、縦・横・斜め、会社全体で新卒社員を支えなければなりません。そこで、社長、役員、各部署の活躍社員、人事、メンターから成る総勢14人のトレーニングプロジェクトメンバーで毎月新卒メンバーの様子について共有する時間も設けることにしました。

また、内定者とは入社前も定期的に話していたため、作成中のトレーニングプログラムについて率直な意見を聞くようにしていました。「役員直下のトレーニングとは別に、会社について知ったり、ビジネスマナーを学んだりする機会もあると嬉しい」と言われてハッとしたのを今も覚えていますね。意見を参考に、ビジネスパーソンとしての基礎的なことも学べるよう、人事側でも別途研修を用意することにしたんです。

Storys 02
役員直下トレーニングを振り返る

「走りながら考える」ことができず、

涙を流す姿も、見守ってきた。

トレーニングでは、「問いを立てる」こと、「スタンスをとる」こと、それを「実行する」ことを繰り返させました。解決すべき問題を自分で発見してもらい、いくつかの仮説から自分の立場を決め、間違いを恐れずに表明してもらう。そしてそれを実行に移してもらう、ということを何度もさせました。立ち止まって100点の正解を探す“勉強脳”から、正解がわからない中でも行動しながら考える“ビジネス脳”に変えるためのトレーニングです。

正直、かなり難しいことをさせている自覚はありました。案の定、最初は問いが全く出てこなかったり、逆に壮大な問いを立てようと意気込んで考え込んでしまったりと、相当苦労しているようでした。問いが見つかっても、今度は“完璧な答え”を目指すせいで中々自分の意見が言えないまま。上手くいかずに落ち込んで涙を流す姿を目にしたこともあります。あくまでプラクティスなので、素朴な疑問でも、完成していないアイデアでも良く、実践を繰り返すことこそが大切なんですが、私たちのそんな意図はなかなか掴めないようでした。

しかし、いくら彼らが悩んでいても、壁打ちやフィードバックはしますが、私たちから正解を教えることはしません。自ら考え、決断しないと、トレーニングの意味がないからです。自分で考え、やると決めたことが正解かどうかわからないまま進み続けるのは、苦しかっただろうと思います。それでも、彼らは「辞めたい」といった弱音を吐くこともなく、なんとか成長しようと前向きに努力を続けていました。

彼らなら更なる負荷も

乗り越える、と信じて。

そんな状態で、最初の部署での3ヶ月はあっという間に過ぎ、4人それぞれに異なった課題も見えてきました。そこで私が考えたのは「次の3ヶ月は4人が自分の課題に向き合える部署に配属させよう」ということでした。役員からは「これ以上負荷をかけて、辞めてしまったりしないか」と心配されもしましたね。私も荒療治になるリスクを考えなかったわけではありません。でも、社会人として仕事をしていくうえで、自己と他者の認識のズレをすり合わせることは大切ですし、経営人材へと成長してもらうためにも、自分の課題に気づいてもらうのは早いほうがいいと考えました。それで心が折れる人たちではないという確信もありましたから。入社前の説明会から面接選考を経て、入社後のトレーニング期間中まで、ずっと近くで4人を見守ってきたからこそ、成長に貪欲で、骨のある人たちであると私が一番わかっている。そう話すと、役員も納得し、協力してくれました。

実際、2回目のトレーニング期間が一番苦しく、それぞれが深く悩んでいたように見えました。ただ、そうなることは想定していたので、人事がこまめに話を聞いたり、役員やメンターがランチやディナーにカジュアルに連れて行ったりと、新卒みんなの様子を見て、会社全体で迅速にフォローに回れたと思います。

4人は、何度もフィードバックを受ける中で、自身の課題を自覚し、ビジネスに必要な考え方や動き方も掴めるようになり、入社約半年後にはスランプを抜け出しつつありました。役員からも「新卒社員、いいね。もう本配属していいんじゃない?」とまで言われたりして。

新卒の活躍が認められたことは嬉しかったですが、当時はまだ3回目のトレーニング前。4人とも頑張っている途中であり、もっと他の部署や仕事も見せたいという思いもありました。そのため、本配属は待ってもらうことにしました。3回目のトレーニングを終える頃には、新卒のそれぞれにさらなる成長や本配属への意欲も見えてきて。会社としても早く戦力がほしいという思いもあり、「11月に本配属し、並行して役員から部署について学ぶ機会は最後まで設けよう」と決まりました。

Storys 03
配属決定後を振り返る

期待のプロジェクトで

活躍する姿が誇らしい。

新卒社員の配属先は、
いろいろな意図があって決定しました。

  • ●梶は事業開発部。
    広く物事を見ることができ、新しいことをやってみたいという思いが人一倍強い。新規事業である、鳥の羽根のリサイクルを任せたい。
  • ●三原は人事部。
    優秀な人材の採用が会社の成長につながるため、活躍できる新卒社員に任せたい。
    インターンの時にも人事のプロジェクトを任せてみたが、観察力に優れている、かつ人のために動くことが好きな人だから。
  • ●内田は事業開発部。
    三菱ケミカルとのリサイクルプロジェクトは、自分で判断して進める機会が多く、機械系の知識も活かせる。
    トレーニング中も意欲的にプロジェクトに取り組んでいたため、せっかくなら最後まで担当させたい。
  • ●磯山は素材ビジネス部。
    これまで社員が取り組めなかった方法で自ら漁港を回るという行動力とコミュニケーション力。これらが活かせる、廃漁網の調達を引き続き任せたい。

というように、みんなの適性や希望、配属先で身につくスキル、発揮できるであろうバリューなども考慮して決めたつもりです。

RGでは、配属後も新人扱いすることはなく、一人の社員として扱い、重要なプロジェクトも任せています。難しいことを求められる環境のはずですが、各部署からは4人の活躍ぶりを称える声をよく聞きます。会議で数多くのアイデアをアウトプットしたり、積極的に営業活動をしたり、人とコミュニケーションをとったり。トレーニングの成果が実際の仕事でも活きていることがわかって、私も誇らしいです。

1年を経て感じた

4人の成長。

3月には、1年間の振り返りを兼ねて、社長、取締役、人事、新卒社員でグランピングに行きました。お疲れさまとお互いを労い、おいしいものを食べて焚き火を囲んで、これからについてざっくばらんに語り合えたのはとても良い想い出です。個人の目標だけでなく、会社や社会をどうしていきたいかといった思いも話してくれて、4人の成長を強く感じました。

振り返れば、この1年は、受け入れ側の私たちにとっても試行錯誤の繰り返しでした。他の会社の方から「入社から1年経つと、新卒社員は半分くらいが辞めてしまう」という話も聞いたことがあったので、本当に新卒社員のサポートができているのか、不安になった日もあります。後になって「正直、辞めたいと思ったことはなかったの?」と4人に聞いてみたんですが「え?!考えたこともなかったです」という反応が返ってきて、ホッとしました(笑)。

「走りながら考える」トレーニングは、新卒社員にかなり質的負荷がかかる内容だったはずですが、社長、役員、先輩社員、メンターのサポートがあったからこそ、一人も欠けることなく乗り越えることができたのではないかと思います。経営人材に育つにはこれからが本番ですが、みんなの成長が楽しみです!

Epilogue

2024年4月。RGは新卒2期生を迎え、
1期生は「先輩」になった。
今は3期生の採用に取り組んでいるところ。
山田自身も人事部長へ昇格し、
より責任感を持って
人材採用・育成に励んでいる。

「昨年よりは今年、今年よりは来年。
人事側も悩み、葛藤しながら、
よりよい採用活動と受け入れを目指していきます。
それが少しでも会社と社員の成長につながれば、
これほど嬉しいことはありません。」(山田)