- Special Session②
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画一的な“教科書”
ではなく、実践的な
“生きたプログラム”を。
教育研修サービスのトップと語る、
人材育成のあり方
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株式会社ビジネス・
ブレークスルー
代表取締役社長 柴田 巌
SPECIAL
SESSION
PROFILE
株式会社ビジネス・ブレークスルー 代表取締役社長
柴田 巌 Iwao Shibata
京都大学工学部を卒業後、京都大学大学院(工学修士)、英国London School of Economics & Political Science (MSc)、米国Northwestern大学Kellogg Graduate School of Management (MBA)にて修士号を取得。Andersen Consulting、Booz Allen & Hamilton、(株)大前・アンド・アソシエーツ等を経て、1998年5月、インターネット事業を手がける(株)エブリデイ・ドット・コムを設立。
その後、(株)エブリデイ・ドット・コム代表取締役、オレンジライフ(株)代表取締役、(株)旬工房代表取締役等を歴任。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長、ビジネス・ブレークスルー大学大学院教授、2017年6月より事務総長に就任。(株)アオバインターナショナルエデュケイショナルシステムズ代表取締役社長、(株)Musashi International Education代表取締役社長。
失敗しても、成功するまで続ける力。
- 柴田:
- 越智さんとはもう20年以上前からのお付き合いになりますが、当時はネットバブルで、ITプラットフォームビジネスが華やかなスポットライトを浴びていました。そんな中で、いわばまだ日陰の存在だったサーキュラーエコノミーに着目され、今日まで事業を継続されてこられた越智さんの先見性・大局観には、ただただ敬服するばかりです。
そうした着眼点や発想、信念を持つことは、未来を創っていくイノベーターには必要不可欠なものだと思いますが、越智さんご自身はどのようにそれらを身に付けてこられたのですか? - 越智:
- ありがとうございます。私の場合は、20代後半から30代前半にかけて、大前さん(※大前研一氏。日本を代表する世界的経営コンサルタント。株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長)と一緒に働かせてもらったことが大きかったですね。自分のアタマで、ゼロベースで考える。考えるだけでなく、走りながら考える。失敗しても成功するまでやり続ける。当時学んだこうしたスタイルは身体に染みついていますし、社員にも常に伝えていることです。
- 柴田:
- いま「社員に伝える」という話が出ましたが、社員教育においては、あまり手取り足取り教えすぎてしまうと、かえって成長を妨げてしまうこともあります。しかしながら経営側としては、早く成果を求めたくなるものでもありますよね。そのあたりはどうされていますか?
- 越智:
- たとえば新規事業を立ち上げていくといったとき、最近では、うまくいかなかったら早い段階でもどんどんピボットしていくというように、スピード感が重視される傾向にありますが、私たちの場合は違います。「素材を作る」とか「資源を作る」といった、モノづくり、あるいはさらにその上流部分をやっているので、カタチになるまでにある程度時間がかかることは織り込み済みなのです。だから失敗を重ねながらも根気強くやり続け、収益事業にしていくことができる。
もちろん、携わる社員を放置するわけではなく、必要に応じてサポートしたり、後押ししたり、ときには引っ張ったりしながら、でも基本的には本人に試行錯誤してもらう。そうすることで、そのプロジェクトに関わった社員には本物のチカラが身についていくと考えています。
アプリを増やすか、OSを鍛えるか。
- 柴田:
- 非常に共感できるお話です。ここ最近、「リスキリング教育」だとか「リカレント教育」といったことが世の中でも話題ですが、その中身については、大きく2つに分かれるのではないかと思うのです。
1つは、コンピューターでいうところのOSの部分を伸ばしましょう、という方向性。どういう思考のフレームワークで、どのように物事を捉え、そこからどんな意味を抽出していくかといったような、根本的なマインドセットの話です。越智さんが先ほどおっしゃったのは、こちらの話だと思います。
もう1つは、OSの上に便利なアプリケーションをどんどん乗っけていきましょう、という方向性。メディアなどで取り上げられるときにはこちらの話題が多いのではないでしょうか。でもアプリケーションは古くなったら無用になるわけで、そのたびに延々と乗せ替え続けていくというのは、あまり本質的ではありません。
人材にアプリを詰め込んで、それが古くなったらどんどん使い捨てていくのか。本質的な能力を身に付けてもらって、流行り廃りに影響されず長期的に活躍してもらうのか。企業においても、どちらの方向性で人材育成を捉えているのかは異なります。働く側の人々にとっては、企業が持つそうした教育フィロソフィーを知ることがとても重要だと思います。
OJTとOff-JT、両方の組み合わせが大事。
- 越智:
- まさにそのとおりだと思います。ただそれをOJTでやっていくことに、限界を感じていたところでもありました。特に2、3年ほど前から私たちの事業領域が注目を集めるようになってきて、さまざまなビジネスチャンスが広がるようになった。それに伴って、新規事業を担える人材、子会社の経営を任せられるような人材の育成が急務になってきました。たとえば当社の23卒学生採用では、入社後、早ければ5年後ぐらいにはグループ会社の経営を任せられるような人材に育てたい、というスピード感です。そのためには当然、できるだけ早く成長してもらう必要があります。
OJTによる実践的な経験は大事だけれども、短期間で能力を伸ばすためには、OJTだけでは、経営目線で物事を捉える高い視座と、経営者思考を身に付けるには充分とはいえない。そこにOff-JTを補完的に組み合わせていくことが不可欠だと考えるようになり、それで今回、柴田さんのところにご助力をお願いしました。 - 柴田:
- OJTもOff-JTもどちらも大事、というのは、まさにおっしゃるとおりです。
画一的な教科書ではなく、実践的な研修を。
- 柴田:
- 現在、リファインバースグループさんには経営人材育成のためのプログラムをご提供させていただいていますが、先ほどおっしゃっていただいたように「実践的であること」を重視して設計しています。具体的には、問題解決のためのフレームワークを学ぶプログラムと、「もしあなたが○○会社の経営者だったら?」というように、ケーススタディで実践演習を行なうプログラムとの二本立てです。
経営というのは、たとえ同じ業態だとしても、時代背景、集う仲間のカラー、経営者の想い、などによって中身が全く異なってくる“生モノ”です。同じ楽器、同じ楽譜で演奏してもオーケストラごとに響く音が違うように。だからこそ、それを学ぶ研修も、画一的な教科書のようなものでなく、実践的なものであるべきだと考えています。 - 越智:
- その点、贔屓目なしで、BBTのプログラムは間違いなく一番優れたものだと私は思っています。
- 柴田:
- そう言っていただけると嬉しいです。私たちは、第一線の経営者の方々のところに伺い、毎年1000時間ほどのレクチャーをアーカイブへ追加し続けています。ですから、常に実践的で時代に合ったノウハウを提供できる状態にある。もちろん時間が経っても色あせない普遍的なノウハウというものもあり、20年以上にわたって蓄積してきた膨大なコンテンツの中から一社一社に最適な組み合わせを設計してご提供できる、という点も強みの一つだと言えます。
客観的に見て、入社後すぐにこの内容の研修が受けられる御社の新入社員の方はうらやましいですね。トップクラスのコンサル会社でも、入社から10年ほど経ってようやく受けられるような講義内容ですから。 - 越智:
- 当社では、新規事業や他社との協業による事業化、あるいはM&Aなどによって新しい事業機会が急激に増えてきています。だからこそ「経営人材」はその重要性をさらに増しており、当社の成長は人材の育成にかかっているといえます。ぜひお力添えをお願いします。
- 柴田:
- こちらこそよろしくお願いします。当社のもう一つの強みは、プログラムご提供のあとにも都度フィードバックをいただき、よりよい内容へと中身を改善していくことにあります。ぜひ伴走させていただき、よりよいプログラムを一緒に作らせていただければ幸いです。
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