Special Session①
これからの時代に
求められる人材とは、
企業とは。

人材サービスのトップと語る、
就職の「新基準」

  • エン・ジャパン株式会社
    代表取締役社長 鈴木 孝二
  • パーソル ホールディングス株式会社
    代表取締役元副社長 高橋 広敏

成熟産業から成長産業へのシフトが、
急速に起こる時代。

政治、経済、環境など、今あらゆる側面で世界情勢が大きく変化しています。ビジネスの世界においてもさまざまなパラダイムシフトが起こっているこの状況を、どうご覧になっていますか?

高橋:
気候変動や感染症、戦争など、厳しい状況は確かにいま多くありますよね。なにかと悲観的になりがちですが、私は、世界はゆるやかにではあるものの、良い方向にむかっていくと信じているんです。難しい局面だからこそ生まれる技術革新であるとか、人々の意識の高まりであるとか。人類は困難を糧として必ず前に進むことができると思います。
ただし、それには努力が必要です。パラダイムシフトによって生まれる新しい産業が、世界を発展させつつも同時に起こる弊害に対してどう対処していくのか、そこが重要です。
鈴木:
人材業界に身を置く立場からその問題を捉えたとき、いくつかの観点がみえてきます。一つは、20数年前の“IT革命”でハードからソフトへと産業構造の変化が生じたように、今もまた、成熟産業から成長産業へのシフトが急速に進むということ。多様な人材がいかにして成長産業へと流入していけるかが重要です。
また、さまざまな社会課題が生まれている中で、私たち一人ひとりが「誰かがなんとかしてくれる」という考えを捨てることもまた重要でしょう。自分が働くことで社会を変えていく。そういう考えを人や企業の間に浸透させていくことが大きなポイントになると思います。
越智:
「ハードからソフト」の時代について言及がありましたが、いま再び「ソフトからハード」の時代が、ある意味で訪れていると思うのです。石油などの枯渇性資源を原料としたモノづくりから、サステナブルなモノづくりへと本格的にシフトしなければならない中で、日本が強みとしてきたモノづくりの、どの部分を活かして、何を刷新していくのか。ハードの世界にパラダイムシフトをもたらす上で、現場に優秀な人材をいかに呼び戻すかが、ひとつの重要な課題と言えるのではないでしょうか。

優れた企業が、知られていない
という問題。

それでは、成長産業に多様な人材を迎え入れていくうえで、企業側が課題とすべきことは何でしょう?

高橋:
特に新卒学生や若手未経験の方などは、消費者として馴染みのある会社や分かりやすい業種などにどうしても目が行きがちです。しかしBtoBをはじめとする、普段あまり目に触れない企業の中にも、素晴らしい会社は当然ながら数多くある。それが知られていない、というのが双方にとって大きな問題です。いかに求職者に自社の魅力を届け、興味を持ってもらうか、というのが一つの課題と言えますよね。
鈴木:
そのためには、人材採用を経営の優先事項と位置づけて、経営層がコミットしていく必要があると思います。経営者が本気になってビジョンを伝え、採用にも関わっていく。そういう会社はたとえ知られざるBtoB企業でも中小企業でも、やはりうまくいっています。私の会社は人材に関わる事業をやっていますが、経営会議でアタマを悩ますのはいつも人の問題です(笑)。「良い人材を提供してくれる会社、どこかにない?」なんて話を冗談半分でよくしていますが、それはどんな業種の会社であれ同じでしょう。それこそ、人の問題が経営の優先課題であることの証左ですよね。
越智:
ここ最近はSDGsへの関心が高まっていることなどもあって、当社のことも、事業内容を説明すれば興味を持ってくれる求職者は増えました。ただそれでもやっぱり認知度はないし、特に若い人の採用には苦戦する。そこでいま鈴木さんからもお話があったとおり、私自身、新卒採用にフルコミットして携わっていくことにしたのです。採用活動期間中は、仕事時間の20~30%、瞬間的には50%以上を割いている状態だったんじゃないかな。そのおかげか、23年度の新卒採用では、我々の会社を選んでくれる優秀な学生に何人も出会えた。手ごたえを感じている所です。
高橋:
いいですね。私が前身の会社(※株式会社インテリジェンス)に関わり始めたのは大学2年の頃なのですが、当時社長だった宇野さん(※宇野康秀氏)は「われわれの会社は、社会のインフラになる」と断言されていました。そのときは事業としてまだまだ未成熟で、しかも「具体的なやり方はこれから考える」といった状態だったのに、ここまではっきりと言い切るとは、天才なのか、それとも…なんて(笑)。でも本気を感じたんですよね。だからなんの保証も確証もなかったけれど入社した。最終的には、案外そういうことが大事なんじゃないでしょうか。

“安定企業”は本当に安定企業なのか。

逆に、求職者側にはどんな課題がありそうでしょうか。

鈴木:
特に学生や若手の方に顕著ですが、全体的な傾向として、いわゆる「大手・安定志向」というのはここ何年も変わっていません。ただ、これからの時代、企業も働き手も、ずっと変わらずに居続けるなどということはあり得ない。そんなときに、今この時点での“安定性”だけを指標に会社選び・仕事選びをすることはリスクですよね。学生の方の場合には、親御さんともそのあたりのことを、一度じっくりと話し合ってみることが大事ではないでしょうか。
そもそも、企業が本当の意味で安定するためには、絶えず成長・進化が必要なわけで、そういう意味では働き手も安穏としてはいられないはずです。逆に、変化のない「ぬるま湯」であれば、長期的に安定することは望めません。それは「大手企業」でも「中小企業」でも同じことで、大手だからこそ競争が激しいということもあるでしょうし、中小企業でもぬるま湯な環境もあります。もちろん逆もまた然り。どっちだから良いとか悪いとか、単純には決められないということです。
高橋:
どんな企業なのか見極めるための情報は、今はたくさんありますよね。求人メディア、企業が運営するWEBサイトやSNS、クチコミサービスなど、紙メディアしかなかったひと昔前とはまったく違います。そういった情報を、最初は広く、次に深く見ていくことが、自分に合った良い会社を見極めるために必要なことではないでしょうか。もちろん、企業側にはしっかりと発信していくことが大事になります。お互いが深く理解できる状況は、今ではかなりしっかり作れるはずです。
越智:
学生の質的変化は、採用の現場でも感じます。少し前までは、うちのような環境系の事業会社に面接に来る方は、どちらかといえば「金儲けは嫌い」「社会貢献がしたい」というタイプが多い印象でしたが、今は「これからの時代に求められる、成長ビジネス」という側面への理解があります。そのあたりは、発信しているメッセージを受け取ってもらえているのかなと感じますね。

「良い会社」の条件とは。

さまざまな視点からお話しいただきましたが、最後に、リファインバースグループはどんな会社だと、お二人の目には映っていますか?

高橋:
経営者が本気である、ということ。それは採用に関してだけではなくて、自分たちがやっている事業そのものへの想いも含めてです。越智さんとはもう長いお付き合いになりますが、ずっと変わらない信念を持って事業をされていると感じます。仕事柄、これまでたくさんの素晴らしい経営者に会ってきているのですが、そのぶん、どれぐらいの本気度を持った方なのか、ということもすぐ分かるんですよね。そういう経営者がいる会社は、自然と人が集まってくるし、事業が成功していく確率も高い。リファインバースグループはそういう会社の一つだと思います。
鈴木:
若い人にいつも伝えている「会社選びの4つのポイント」というのがあるんです。1つは、成長産業で競争が激しい会社。そういう会社は伸びていきますし、伴って自分自身が鍛えられますから、市場価値が高い人材になれる。この点、リファインバースグループはまさにこれから成長していく企業といえます。
2つ目は、20代からチャレンジングな仕事を任せてくれること。3つ目は、年齢や性別、入社歴などに関係なく実力を評価してくれること。このあたりについても、まさに実践されていると思います。
4つ目が、「本業で社会的な価値を生み出している」こと。働くことは、それが全てではないけれども、人生の大きな割合を占めるものですよね。だからこそ、自分の携わっている仕事が、世の中や身の回りの人々に対して価値あるものだと、そのぶん、自分の人生も豊かになる。この点については、リファインバースグループは言わずもがなではないでしょうか。
仕事をしているとうまくいかないことや苦しいこともたくさんあるけれど、それを乗り越えることで、自分自身に自信が持てるようになって、人に対して優しくできたり、物事が広く見えたりするようになる。人間としても自分を成長させてくれる。「働くこと」をそういうものだと捉えて会社選びをすると、また違った視点で興味のある仕事や企業を見つけられるのではないでしょうか。
越智:
お二人とも、ありがとうございます。この事業を20年やってきて、業績や規模としてはまだまだこれからですが、誇りを持ってやってこれたことだけは、一つ自慢ができるかなと思っています。収益を上げることと社会に貢献することが直結している事業ですから、なんの後ろめたさもなく目の前の仕事に打ち込めますし、取引先に損をさせることもない。一度お取引をすると、10年、20年の長いお付き合いが実現できています。先日も、古くからのクライアントの役員から「越智さんの会社と一緒に仕事ができて本当によかった」と改めて言っていただいたときには、感動しました。そういうことが感じられる仕事だということを、求職者のみなさんにはお伝えしておきたいですね。
社会に対して、お客さんに対して、本質的な価値を提供できる。それを実感できる。いま時代がようやく追いついてきて、これから事業拡大していくフェーズにあります。この「本質的な価値を実感できる機会」を、これからもどんどん増やしていきたいと考えています。
エン・ジャパン株式会社
代表取締役社長 鈴木 孝二 Takatsugu Suzuki
愛媛県生まれ。1995年、同志社大学卒業、エン・ジャパンの前身である株式会社日本ブレーンセンター入社。新卒・中途採用の営業を経て、教育・評価サービスを手がける部署に配属。人材ビジネス全般の経験を積む。2000年1月、日本ブレーンセンターでインターネット求人広告を担っていたデジタルメディア事業部が分社独立、エン・ジャパン株式会社設立と同時に取締役に就任。営業部長として同社の急成長を牽引し、2008年3月に常務取締役、同年6月に代表取締役社長に就任。
パーソルホールディングス株式会社
代表取締役元副社長 高橋 広敏 Hirotoshi Takahashi
大分県生まれ。早稲田大学卒業後、 1995年パーソルキャリア(旧インテリジェンス)入社。人材派遣、転職支援、アルバイト求人情報等のサービスや新規事業を立ち上げ、推進。2008年同社代表取締役 兼 社長執行役員就任を経て、2013年パーソルホールディングス取締役副社長COOに着任。2019年4月「パーソルイノベーション」を立ち上げ、HRテックを活用した既存事業の革新と新たな事業創造にも注力。

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